血糖値とヘモグロビンA1c(HbA1c)

1. 血糖値とは?

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度を示す数値です。これは、私たちの体がエネルギーを得るために欠かせない重要な要素です。通常、血糖値は食事、運動、ストレスなどの影響を受けて変動します。一般的に、血糖値は以下のように分類されます:

  • 空腹時血糖値:食事を摂取せずに8時間以上経過した状態で測定する値。
  • 食後血糖値:食事後1〜2時間後に測定する値。通常、食後は血糖値が上昇します。
  • 随時血糖値:日中いつでも測定できる値。

2. HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは?

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは、血液中のヘモグロビンとブドウ糖(血糖)が結合した糖化タンパク質で、過去1~2ヶ月間の平均的な血糖値を反映する検査値です。健康診断や人間ドックの診断書に記載される項目で、糖尿病の早期発見や血糖コントロール状態の評価に有用な指標です。数値はパーセンテージ(%)で表されます。

3. 血糖値とHbA1cの違い

血糖値とHbA1cはどちらも血糖の状態を示す指標ですが、その違いを理解することが大切です。

指標説明測定タイミング評価対象
血糖値血液中の瞬間的なブドウ糖濃度その場で測定日々の血糖値の変動
HbA1cヘモグロビンとブドウ糖の結合率血液検査で測定過去1〜2ヶ月の平均血糖値

血糖値は検査前の食事によって影響されます。 血糖値は食事を摂り始めてから約30分後に一番高くなり、約2時間後には食事を摂る前と同じくらいまで下がります。 それと比較して、HbA1cは過去1~2ヶ月の平均的な血糖値をみているので、検査前の食事には影響されません。
血糖値は日々の変動を捉えるため、食後や運動後に変動しやすい一方、HbA1cはその変動を平均化した長期的な数値を示します。したがって、両方を合わせて確認することで、短期的および長期的な血糖コントロールの状態がわかります。

血糖値判定区分

血糖値判定区分

HbA1cと血糖値の基準値

指標HbA1c血糖値
正常値5.6%未満空腹時:70~110mg/dL未満
食後2時間:140mg/dL未満
糖尿病予備軍5.6〜6.4%空腹時:110~125mg/dL
食後2時間:140~200mg/dL未満
血糖正常化を目指すための目標6.0% 未満
糖尿病(※疑いを含む)6.5% 以上空腹時:126mg/dL以上
食後2時間:200mg/dL以上
糖尿病合併症予防のための目標7.0% 未満
治療強化が困難な際の目標8.0% 未満

4. 血糖値とHbA1cを改善するためには?

血糖値やHbA1cの管理は、糖尿病予防や健康維持に欠かせません。以下のような生活習慣の見直しが重要です。

適切な食事

  • 糖質のコントロール:過剰な糖質摂取を避け、食物繊維やタンパク質をバランス良く摂取する。
  • 食事のタイミング:規則正しい食事時間を心がけ、過食を避ける。

運動

  • 有酸素運動:ウォーキングやジョギングなど、週に3〜5回、30分程度の運動を行う。
  • 筋トレ:筋肉を増やすことで、インスリンの働きを助け、血糖値のコントロールがしやすくなります。

ストレス管理

ストレスは血糖値の急上昇を引き起こすことがあります。瞑想や趣味の時間を持つなど、リラックスできる時間を確保しましょう。

5. HbA1cが高い場合のリスク

HbA1cが6.5%以上の状態が続くと、糖尿病と診断されることが多いです。糖尿病は、長期にわたる高血糖状態により、以下のような合併症を引き起こすリスクがあります:

  • 神経障害:手足のしびれや痛み
  • 腎障害:慢性腎不全
  • 眼障害:糖尿病網膜症による視力低下

6. 医師との相談が大切

自己管理も重要ですが、血糖値やHbA1cに関しては、定期的に医師の診察を受けることも忘れないようにしましょう。医師と相談しながら、適切な治療計画を立てることで、合併症のリスクを軽減することが可能です。

まとめ

血糖値とHbA1cは、それぞれ異なる視点から血糖状態を把握するための重要な指標です。日々の血糖値を把握しつつ、HbA1cで長期的な血糖コントロールを確認することが、健康な生活を送るための鍵となります。適切な食事、運動、ストレス管理を行い、医師の指導のもとで定期的に検査を受けるよう心がけましょう。

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